COLUMN コラム

2025.06.02

8020運動

こんにちは。院長のいつきです。

皆さんは厚生労働省が推奨する「8020(ハチマルニイマル)運動」をご存知でしょうか。

この運動は80歳になっても自分の歯を20本以上保とう!という趣旨の運動です。1989年(平成元年)より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している運動になります。

人間は20本以上の歯があれば、ほぼ支障なく食生活に満足することができると言われています。(人間の歯は親知らず4本を含めると全部で32本あります。)8020の実現によってお年寄り自身が「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」という願いが込められています。

昭和62年の調査では、80歳以上で20本以上の歯を持つ人はわずか7%、80歳の1人平均の歯数は4本しかなかったのが現在では、80歳以上の方々の、なんと半数以上で「8020」が達成できているようです。国民の皆さんの日々の努力と歯科医師の指導の賜物です。

2025年は我が国の後期高齢者(75歳以上)の人口は約2154万人となり、日本人の5人に1人が75歳以上です。高齢化がさらに進み、「2025年問題」とも呼ばれ、医療や介護を必要とする人がますます増加し、そうした人たちを支える体制をどのように拡大していくかが大きな課題となっています。

「人生100年時代」と言われている昨今だからこそ、100歳になっても自分の歯で食事を楽しみたいですよね。

歯がほとんど残っていない方は20本以上歯が残っている方に比べ、約2倍認知症になりやすいという研究データもありますので、これからの時代はさらに8020を意識しながらご自身の歯を残していくことが大切です。

年齢を重ねても歯をできるだけ多く残すために、何より大切なことはしっかりと咀嚼することです。

最近は昔に比べ柔らかい食べ物が多くなり、噛む機能が低下し顎や歯に良い刺激が伝わらず健全な歯の成長を妨げてしまう状況にあります。特に、小学生から中学生までのお子さんは顎の成長が旺盛の時期で「噛む」ことは顎の成長にとても大切です。

また、顎がしっかり成長しないと、歯が生えるスペースが不足して歯並びが悪くなったり、噛み合わせが乱れたりします。将来の歯の良好な環境のためにも小さなうちからしっかりと咀嚼して食べるということを習慣にしたいものです。

しっかりと噛むことで唾液腺が刺激され、さらさらとした唾液が出ます。唾液には食べ物を飲みやすくする他に「抗菌作用」「殺菌作用」などの効果も期待でき、そのため虫歯や歯周病になりにくいお口の環境に整えることができます。

よく噛むことで表情筋や咀嚼筋が鍛えられるため顔の表情も明るくなり、また口元や輪郭が引き締まるため、美容効果も期待できます。また自分の歯を残すことで、正しい発音での会話もできるようになります。

また咀嚼は脳の発達にも影響を与えます。よく噛むと筋肉の収縮により顔まわりの血管や神経が刺激され、脳への血液の量が増えるので、子どもにとっては脳の発達に良く、大人にとっては物忘れを防止することができます。咀嚼は脳に働きかけて「セロトニン」というホルモンの分泌を促すことも分かっています。セロトニンは精神の安定に作用するホルモンで別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。

さらに、ゆっくりよく噛んで食べることで、食べすぎを防ぎ肥満防止に繋がります。

このように、しっかりと咀嚼することには素晴らしいメリットが沢山あります。

ひと口につき、30回を目安に噛むと良いでしょう。

将来1本でも多くの自分の歯を残したいと考えているなら、セルフケアに力を入れることも大切ですが、歯科医院での検診を定期的に受けることをお勧めします。

健康で美しい歯で、80歳で20本と言わず、それ以上を目指しましょう。

お口の中のお悩みは、お気軽に当院にご相談ください。

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